介護職が高齢者の心境や健康状態の変化を理解することが大事

介護職は何らかの形で健康状態の悩みや問題を抱えた高齢者を相手にする職業です。しかも、日常生活のなかで利用者と深く関わりながらコミュニケーションを行い、信頼関係を築いていくことが求められます。そのため、単に求められる役割、サービスを淡々と提供するだけでなく相手の気持ち、心境への理解も求められるのです。とくに高齢者の場合、年齢化を重ねていくにつれて身体的な特徴と心境の両方が変化を見せる傾向が見られます。しかも、身体的な特徴が精神状態や気持ちに影響を及ぼすことも多くなるため、それを配慮した上で付き合っていくことが重要になってくるでしょう。

とくに注意したいのは脳の変化です。高齢になるについて集中力・注意力の保持が困難になるため、集中して何かを行う必要がある作業においてうまくいかなくなるケースが多くなります。いわゆる「キレやすい」状態です。これは単にすぐに怒る、怒鳴るといった面だけでなく、何をやるにしてもすぐに投げ出してしまう、新しいことを理解しようとするのを放棄するといった行為にも現れます。例えば、リハビリや日常の動作の中でも、体の衰えで手間や時間がかかるようになってしまったことなど。そうした状況に対して、イライラしたり腹を立てないのが大原則です。

一方で、集中力や記憶力は落ちる一方で理解力は比較的維持されやすいといわれています。そのため、高齢者に対してまるで赤ちゃんのように接する態度はその理解力を過小評価し、相手の気持を傷つけてしまうこともあるので注意が必要です。加えて動作が遅くなる、関節に負担がかかるので急な動きが難しくなるといった身体的な特徴も理解した上での接し方が必要になってきます。