普段から家族の介護していたり、介護職として仕事をしている方の中には、老人性難聴の高齢者を相手にしているケースもあるでしょう。老人性難聴とは、老化に伴って徐々に聴力が低下していく聴覚の障害を指します。主な原因は、内耳の伝音細胞が減少するためと考えられています。その他には脳細胞や神経細胞の働きの低下、高血圧や糖尿病といった生活習慣病なども原因としてよく知られています。
老人性難聴の特徴的な症状は、高音域の聴力が弱くなる上、特定の音だけ聞き取りづらくなることです。特に「か」行、「さ」行、「ぱ」行で、症状が顕著に現れます。さらに早口で言われると理解が追いつかない、言葉や音楽がぼやけたり小さい音が聞き取れない一方で、大きな音がうるさく感じるなど症状も様々です。そのため、介護の際にはできるだけ正面から一つ一つの言葉を区切って話しかけることが大切なポイントです。さらに、音以外でのコミュニケーションを心がけることも効果が期待できます。言葉と一緒にジェスチャーやボディランゲージを加えたり読唇術を取り入れるなど、多彩なスキルを活用しましょう。
老人性難聴が進行すると、日常生活に様々な支障をきたすおそれがあります。特に日常でのコミュニケーションがスムーズにいかなくなることで、周囲から誤解されたり消極的になって引きこもったり、さらに認知症のリスクが高まるなど、2次的な障害が起こりやすくなります。介護ではこのような点をよく理解し、老人性難聴の高齢者をサポートすることが大切です。